プロローグ 王子様のプロポーズ2 (Season2)・EK

プロローグと共通ルートはもう見られませんので、懐かしんで頂ければとレポします(^-^)

共通ルートもいつかレポできればと思いますが、いつになるかは不明です(^^;)

→ 2017年10月24日にボイス実装され、それに伴いプロローグも共通ルート2話

  (アバMクリアご褒美ストを含む)も想い出アルバムのSpecial(ノーブル城アイコン)から

  いつでも読めるようになりました☆

 

主人公がキャラ名を知るまではキャラ名が【??】になっているので、レポでは画像が

ない事もあり王子の台詞に色をつけ、王子以外のキャラで画像が出ている台詞は(   )で

名前を追記しています。

主人公の名前は『須王美雨』としますが、ご自身の名前に置き換えてお読み下さい☆

 

ヘンリー ・・・・水色 

ジーク ・・・・・・紫色 

クオン ・・・・・・ピンク色 

オリバー ・・・・赤色

ケヴィン ・・・・・黄緑色 

マックス ・・・・・薄紫色 

イヴァン ・・・・・青色

主人公 ・・・・・・オレンジ色 

 

 

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◆ Prologue ◆

 

シャルルの朝は早い。

6時ちょっと前のこの時間でも、街のあちらこちらから焼きたてのパンやコーヒーの

香りが漂ってくる。

そんな街をスニーカーで走って向かう先は、私の職場。

街で一番おいしいと評判のパン屋だ。

いつか自分のパン屋を持ちたいという夢を抱き、シャルルへ来て1年が経とうとしている。

 

(やばい、遅刻かも……・)

 

腕時計を見おろし、走る速度をあげた。

 

(今日は大事な日なんだから)

 

今日、店のオーナーに新しいパンのレシピ案を提出することになっている。

昨夜遅くまでその準備に追われていたため、今朝は少し寝坊してしまった。

 

(あの角を曲がれば……)

 

と、勢いよく角を曲がったその時、

 

ドン!

 

美雨 「わっ」

 

出会いがしらに誰かと衝突。

ぶつかった拍子に足がからんで2人もろとも地面に倒れ込み、それぞれのカバンの

中身が周辺にぶちまけられてしまう。

 

(やっちゃった……)

 

私は上に覆いかぶさるような格好になった相手の顔を見上げ、ハッと息をのんだ。

 

?? 「……」

 

驚いたように私を見下ろすその男性は、目を見張るほど綺麗な顔立ちをしていた。

 

(って、見惚れてる場合じゃなかった!)

 

6時を知らせる時計台の鐘の音が響き渡り、私は慌てて散らばったカバンの中身を

かき集める。

 

美雨 「すみません! お怪我はないですか!?」

 

?? 「……ああ。君は?」

 

美雨 「大丈夫です。ほんとにすみませんでした!」

 

私は謝罪もそこそこに駆け出してから、ふと思った。

 

(そういえば、今の人どこかで見たことあるような……?)

 

 

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男性は、やれやれと溜息をつき、カバンを拾い上げた。

傍らに落ちていた手帳を手にとり、小さく呟く。

 

?? 「これ……俺の手帳じゃない」

 

燕尾服に身を包んだ男が心配そうに近づいてくる。

 

??(ロイド) 「ヘンリー様……どうかされましたか?」

 

ヘンリー 「いや、なんでも……」

 

手帳をカバンにしまい、ヘンリーと呼ばれた男性は運転手がドアを開けて待つ

リムジンへ乗り込んだ。

 

 

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(まずい……6時まわっちゃった)

 

美雨 「おはようございます!」

 

大きな声で挨拶をして、遅刻を詫びようとしたその時、

 

?? 「遅い」

 

クオンくんに軽く頭を小突かれる。

 

美雨 「ごめんなさい」

    「実はさっき、金髪のイケメンと曲がり角でぶつかって……」

 

クオン 「は? 何寝ぼけてるんだ?」 

 「そんなテレビドラマみたいな出会いあるわけねーだろ」

 

美雨 「それが本当なんだって!」

 

クオンくんは年下ながらしっかり者の同僚。

誰よりも早く出勤して、その日の気温や湿度に合わせ、豆やエスプレッソマシンの

調整をする。

今はまだバイトだけど、一人前のバリスタを目指して修行中らしい。

 

?? 「朝から賑やかね~♪」

 

バケットの釜入れを終えて声をかけてきたのは、先輩のパン職人、ポエールさん。

今日の私は遅番だったため、お店にはすでにポエールさん指揮のもと、かなりの

数のパン生地が成形ずみだ。

 

美雨 「ポエールさん、おはようございます」

 

ポエール 「おはよ、美雨」

 

美雨 「やっぱり、ポエールさんの生地はツヤが違いますね」

 

ポエール 「発行のタイミングを見極めるためには、五感をフル稼働することが大事よ」

 

ポエールさんは、世界的コンテストの入賞常連という、奇才のパン職人。

ユニークな発想で次々に新しいレシピを生み出すその才能は、有名なファッション

デザイナーであるお祖父さま譲りだろう。

 

(私もポエールさんみたいな職人になれるよう、がんばらないと)

 

そこへ、オーナーのヨーゼフさんがやってきた。

 

ヨーゼフ 「美雨、おはよう」

 

美雨 「おはようございます、ヨーゼフさん」

 

ヨーゼフ 「例の、新しいレシピ案は持ってきたかい?」

 

美雨 「はい!今、お見せします」

 

昨夜つくったレシピ案は、渾身の自信作だ。

 

(ヨーゼフさんに認めてもらうチャンス!)

 

私は意気揚々と、レシピを書きとめた手帳をカバンから取り出した。

 

(……ん、あれ??)

 

手帳を開くも、中には昨夜書いたはずのレシピがない。

代わりに、スピーチ原稿のようなものと、高級そうな万年筆が挟まっていた。

 

美雨 「あ……あの時!」

 

 

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美雨 「すみません! お怪我はないですか!?」

 

?? 「……ああ。君は?」

 

 

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(手帳がすり替わってしまったんだ……)

 

ヨーゼフ 「美雨?」

 

美雨 「すみません。ヨーゼフさん、今日は……まだお渡しできません」

 

ヨーゼフ 「……そうか。それは残念だ」

 

 

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開店の準備を進めながらも、どうしても溜息がもれてしまう。

 

(朝からついてないな……)

 

ひと通り焼きたてのパンを陳列し終え、ぼんやりとレシピのことを考えていると、

横からコーヒーが差し出される。

 

クオン 「これでも飲んで一息つけ」

 

美雨 「……ありがとう」

 

クオン 「どうしてヨーゼフさんに手帳のこと言わなかった?」

 

美雨 「私の不注意が招いたことだしレシピを失くした言い訳なんて……通用しないから」

 

クオン 「ま、ぶつかった相手がイケメンでボーっとなってたなんて言えねーか」

 

美雨 「もう!」

 

クオン 「ヨーゼフさん、昨晩、アンタがつくったクロワッサンの種のこと褒めてたぞ」

 

美雨 「え……ほんと!?」

 

クオンくんは店内に陳列されているクロワッサンを顎でしゃくるようにして指し示す。

 

クオン 「いい感じで焼きあがってるみたいだ」

 

(一応、私のこと慰めてるつもりなのかな……)

 

と、その時、

 

?? 「なになに、今、イケメンって言葉が聞こえたんですけど?」

 

接客係のサラが耳ざとく聞きつけやってきた。

 

クオン 「サラ、まだテーブルセッティングの途中だろ」

 

サラ 「これで、終わりっ!」

 

そういって、そばにあるテーブルにペーパーナプキンを置くと、カウンターから身を

乗り出すようにして私たちを見あげる。

 

サラ 「ねえねえ、美雨ちゃ~ん。何の話?」

 

パン屋にカフェが併設されたプーランジェリーカフェスタイルのうちのお店において、

キュートな接客係のサラは街で評判の看板娘。

サラ目当てで足しげく通う客も少なくない。

 

美雨 「サラにそんな目されたら、言わないでおけないなー。実はね、今朝……」

 

言いかけた私を遮るようにして、サラが目を輝かせて声をあげる。

 

サラ 「いらっしゃいませ♪」

 

見ると、一人の客が店の外からガラス越しにパンを見おろしている。

 

サラ 「その話はまた今度! まずは目の前のイケメンを優先ってことで」

 

美雨 「え……?」

 

サラ 「あのお客さん、絶対、芸能人かセレブだよ!」

 

サラの言うとおり、慣れない様子で店に入りパンを選び始めたその客は、洗練された

オーラを漂わせていた。

はしゃいだ様子でフロアへ出て、商品を整えたりしながらチラチラとその男性を窺うサラ。

 

美雨 「サラのイケメン嗅覚、ホントすごいよね」

 

そう言って隣を見あげると、どういうわけかクオンくんは困ったように眉間にしわを

寄せている。

 

(……どうしたんだろ?)

 

 

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コーヒーを淹れ終えたクオンくんが何故か配膳をしぶったため、私が代わりに

クロワッサンとコーヒーをお客さんのもとへ運ぶことになった。

テラス席で待っていたその男性は、近づいてきた私を睨み上げる。

 

?? 「おい、その生き物をどけろ」

 

美雨 「え? 生き物……と申しますと?」

 

商品をテーブルに置き、周囲を見渡すと、なんとも可愛い子猫が隣のテーブの下で

くつろいでいるのが目に入った。

 

(猫か……)

 

男性は猫を動かさないと頑として動かないとでも言うように、湯気をたてるコーヒーにすら

手を伸ばそうとしない。

 

 

(選択してください)

A: すぐに猫を動かす

B: コーヒーを勧めてから猫を動かす

 

 

A: すぐに猫を動かす

 

私はすぐさま隣のテーブルの下へ手を伸ばし、子猫を抱きあげ遠くへ連れていった。

戻ってくると、そのお客さんは私のほうを見ることなく、コーヒーに手を伸ばす。

 

美雨 「遠くへ放しましたので、もう大丈夫かと思います」

 

?? 「……」

 

 

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B: コーヒーを勧めてから猫を動かす

 

美雨 「かしこまりました」

    「すぐに移動させますので、どうぞ温かいうちにコーヒーを……」

 

?? 「いいから早くどけろ」

 

美雨 「は、はい、ただいま……」

 

私は慌てて子猫を抱きあげ、遠くへ連れて行った。

 

 

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(なんだか……冷たい感じの人だったな。もう、うちの店には来てくれないかも)

 

接客を終えて店内に戻り、そんなことを思っていたが……予想はすぐに覆された。

 

?? 「……これで全部か?」

 

美雨 「はい。現在焼きあがっているクロワッサンはこれが全てです」

 

?? 「そうか……では、これを全てもらおう」

 

美雨 「……え?」

 

?? 「全て、持ち帰り用に包んでくれ」

 

(これ、全部!?)

 

食事の後、再び店内に戻ってきたそのお客さんは、店にあるだけのクロワッサンを

買い占めて帰っていったのだった。

 

(最後まで仏頂面だったけど、気に入ってくれてたのかな……?)

 

 

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お店からの帰り道、私は今朝、男性とぶつかった曲がり角で足を止めた。

 

美雨 「落ちてない……よね」

 

あるはず無いとは思いながらも、道路脇の植え込みの中を探してしまう。

 

(やっぱり、あの人が持ってるんだ)

 

今日、提出する予定だったものだけでなく、これまで思いついたレシピのほとんどが

手帳の中に収められている。

 

(あきらめるなんて出来ない……)

 

と、顔をあげたその時、

 

(……嘘でしょ!?)

 

通りの向こうに、今朝ぶつかった金髪の男性を発見。

信号が変わるやいなや、私は男性めがけて駆けだした。

 

美雨 「あの、すみません……あの……!」

 

ところが運の悪いことに、道を横断した先では、何やら雑誌の撮影らしきクルーと

それを見学するファンで溢れかえっている。

 

美雨 「お願いします、通してください!」

 

通り抜けようとしてもなかなか前へ進めないなか、とうとう金髪の男性の背中を

見失った。

 

美雨 「……はぁ」

 

途方に暮れていると、レフ版を向けられたモデルの男性とふいに目があう。

 

(あ、たしかこのモデルさんって……オリバー・バトン?)

 

ファッションに詳しくない私でもその名前は知っていた。

 

(絶対そうだ。やっぱり、華があるなぁ)

 

感心したその瞬間、オリバーが私にウインクを投げ、周囲から悲鳴にも似た黄色い

歓声が湧き起こる。

 

美雨 「ちょ、ちょっと押さないでください……わわっ!」

 

ウインクに反応したファンが後ろから怒涛のように押し寄せ、私は前につんのめり

派手に転んでしまう。

 

美雨 「痛ぁ……」

 

(もう、今日は散々だな……)

 

すっかり参ってしまい、げんなりと顔をあげる。

すると、誰かが私に手を差しのべていた。

 

?? 「……大丈夫?」

 

転んだ私を起き上がらせてくれたのは、長身の男性。

ボサボサの髪の毛の間から、優しそうな瞳がのぞいている。

 

美雨 「ご親切にありがとうございました」

 

そういうと、男性はにっこりと微笑む。

 

?? 「天使と巡りあえたことにこっちが感謝したいくらいだ」

 

(……天使!? ちょっと変な人かも)

 

冗談を言っているようにも見えず、どう答えていいものか困っていると、

 

クオン 「道の往来で一般人くどいてんじゃねーよ、おっさん」

 

クオンくんが眉をしかめながら現れた。

 

美雨 「え……知り合い?」

 

クオン 「いや、赤の他人。こんなのどう見ても不審者だろーが」

「アンタもうちょっと警戒心持てよな?」

 

?? 「相変わらず素直じゃなくて可愛いな~、クオンくん♪」

 

クオン 「語尾あげんなって! ほんといちいちウゼーな」

 

(この2人、どういう関係?)

 

不思議に思っていると、私たちの横に一台のリムジンが停車する。

窓があいて顔を出した男性に、私はハッとなった。

 

(このひと確か……テレビで観たことある)

 

男性は車の中から憮然と言い放つ。

 

?? 「何してんだよ」

 

?? 「何って、そうだな~、ナンパってやつかな」

 

すると、車の中の男性はチラッと私のほうを見やってから、吐き捨てるように言う。

 

?? 「つまんねー女ひっかけてんなよな」

 

(……え)

 

唖然としているうちに、リムジンは走り去っていった。

 

(直球すぎて、怒る気もおきなかった……)

 

?? 「まあ、口が悪いこと。気にしなくていいからね。今の人、いつもああいう感じ」

 

クオン 「それより美雨、さっき誰か探してなかったか? あの人だかりの端で

      背伸びしてたろ」

 

美雨 「そうなの。今朝、ぶつかった男性を見つけて・・・・でも、見失っちゃった」

 

クオン 「手帳が入れ替わってるかもしれないとかいう?」

 

美雨 「うん。この手帳の持ち主……。あ~あ、せっかく見つけたのにな」

 

そう言って手帳を取り出すと、なぜかクオンくんと長身の男性は顔を見合わせた。

長身の男性は、手帳のカバーにある紋章のような刻印を見つめながら言う。

 

?? 「俺、その持ち主わかるかも」

 

美雨 「え……!?」

 

 

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数分後。

私はリムジンに乗せられていた。

 

(いったい、どういうこと?)

 

長身の男性は自身をマックスと名乗っただけで、手帳の持ち主が分かった理由は

おろか、クオンくんとの関係すら明かしてくれない。

 

美雨 「あの……せめて、今どこに向かっているのかだけでも……」

 

マックス 「だから、それは着くまでの秘密」

 

美雨 「クオンくんもダンマリを決め込むの?」

 

クオン 「……」

 

クオンくんは不機嫌そうに窓の外に目をやったまま、口を閉ざしていた。

 

 

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それからしばらく車を走らせ、日も傾き始めた頃、

 

マックス 「そろそろ着くよ」

 

マックスさんの言葉を受け窓の外を見ると、思いがけない景色が目に飛び込んできた。

 

(え……ひょっとして、向かってる先って……)

 

窓から見えるのは、かの有名なノーブル・ミッシェル城だった―。

 

 

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窓から見えるのは、ノーブル・ミッシェル城。

世界最大の城であり、6か国の王家のみがそこで結婚式をあげることを許されている、

いわば世界中の女の子の憧れの地だ。

 

 

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ほどなくして、リムジンはノーブル・ミッシェル城前に到着。

地面に降り立ち、眼前にそびえ立つ城をぽかんと見上げていると、マックスさんが

くすっと笑う。

 

マックス 「ここからの眺めもいいけど、中に入るともっと面白いから」

 

美雨 「あの……私、ここに入っていいんですか?」

 

クオン 「いいからついて来いって。時間ないんだから」

 

(時間がないって……もう、さっぱり意味が分からないな)

 

 

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おずおずと城の中へ足を踏み入れた途端、私はその荘厳な内部の装飾に目を

奪われた。

 

(……わあ、すごい)

 

思わず足がすくむ私を尻目に、2人はさっさと先を歩いていく。

慌ててついていこうと小走りで駆け寄ると、クオンくんが振り返った。

 

クオン 「美雨は、このへんで待ってて。そのうちヘンリーが来るから」

 

美雨 「……ヘンリー?」

 

マックス 「キミが持ってる、その手帳の持ち主」

 

美雨 「ああ! そうなんですね! その方がもうすぐここに……」

 

マックス 「ってことで、俺たちもう行かなきゃいけないからここでバイバイね。

       俺の天使ちゃん」

 

美雨 「え、バイバイって、マックスさん……!」

 

と、その時、

 

?? 「あれ、さっきの子?」

 

後ろから声を掛けられ振り向くと、なんとあのモデルのオリバー・バトンが不思議そうに

私を見おろしていた。

 

(どうしてここに……!?)

 

オリバー 「キミ、マックスの知り合い?」

 

 

(選択してください)

A: はい、知り合ったばかりですが

B: いえ、知り合いというほどでも

 

 

A: はい、知り合ったばかりですが

 

美雨 「はい。 といっても、知り合ったばかりですが……」

 

オリバー 「知り合いなのに置いてけぼりくらっちゃったってこと?」

 

美雨 「その……いろいろと訳がありまして」

 

オリバー 「じゃあそれは、パーティーが始まってからゆっくり聞こうかな」

 

  

..:*・゚★..:*・゚★..:*・゚★..:*・゚★

 

 

B: いえ、知り合いというほどでも

 

美雨 「いえ、知り合いというほどでも……」

 

オリバー 「そうなんだ。じゃあ、このあとは俺にまかせて」

 

美雨 「え、このあとって?」

 

オリバー 「なに言ってるの。パーティーに決まってるでしょ」

 

 

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美雨 「はい?」

 

(今、パーティーて言った?)

 

オリバー 「とりあえず、まずは控え室で着替えないと……」

「あれ? キミ、ドレス持ってきてないの?」

 

美雨 「その、ドレスもなにも……」

 

オリバー 「なにも持ってきてない? まったくそそっかしい子だな」

 

オリバーさんは私の鼻先をつついてそう言った。

 

オリバー 「じゃあ、とりあえずこっち来て」

 

私の手を取りどこかへ向かって歩き出すオリバーさん。

 

美雨 「いえ、あの……私はですね」

 

オリバー 「あ、ごめんごめん。先に言わせて。俺、オリバー・バトン。キミは?」

 

美雨 「須王美雨といいます。って、そうじゃなくて……」

 

オリバー 「よし着いた。ドレスがないならまずはココだ」

 

オリバーさんは足を止めると、控え室らしき部屋のドアを開けた。

 

 

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(……あ、あの人!)

 

その部屋の中には、今朝、カフェに来ていたお客さんがジロリとこちらを睨むようにして

立っていた。

 

?? 「ノックくらいしろ、オリバー」

 

オリバー 「ねえジーク、この子に合うドレス、見立ててあげて」

 

美雨 「えっ?」

 

オリバー 「心配しなくていいから」

 

オリバーさんはそういうと私の背中をポンと軽く叩き、どこかへ行ってしまう。

 

美雨 「あの……私……」

 

ジーク 「早くドアを閉めろ」

 

美雨 「は、はいっ」

 

言われるがままドアをしめると、ジークと呼ばれたその男性はジロジロと私の全身を

舐めるように見つめ、やがてボソッと言った。

 

ジーク 「……脱げ」

 

 

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(なんでこんなことに……?)

 

煌びやかなドレスに身を包み、廊下を歩きながら首をひねる。

あの後ジークさんは、ドレス、アクセサリー、靴にいたるまで細やかに誰かに

電話で発注し、瞬く間にこの衣装が届けられたのだった。

 

 

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ジーク 「お前……本当に女か? 」

「女たるもの、毛先・指先・つま先の手入れを怠るなと習うだろう!」

 

 

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(身だしなみにうるさいかんじだったけど……あの人、衣装係か何かなのかな)

 

ドレスに着替えた後、ヘンリーという人に会いにきたと伝えると、ジークさんは

『パーティーで会える』と教えてくれた。

 

(とにかく、今はパーティーに向かうしか……)

 

考えながら、慣れないヒールでフラフラと歩いていたその時、

 

?? 「……おい」

 

威圧的なその声のほうを見ると、まさに白面の貴公子といった風貌の男性が

こちらを見つめている。

 

?? 「お前、パートナーはいないのか」

 

美雨 「パートナー、ですか……」

 

?? 「この時間に一人でうろついてるということは図星だな。俺のパートナーに

     してやる」

 

美雨 「……はい?」

 

訳がわからないまま私はその男性に連れられ、やがて大きな扉の前に辿り着いた。

 

美雨 「あの、ここってパーティー会場ですか?」

 

男性はいぶかしげに眉をひそめる。

 

?? 「……決まってるだろ」

 

そして、目の前の扉がゆっくりと左右に開く。

扉が開いた途端、私たちは眩いフラッシュにつつまれた。

 

(え……)

 

沢山の報道陣が興奮気味にカメラを携え私たちを狙っている。

戸惑う私を男性はさりげなくエスコートし、広間の中心へ導いていく。

するとそこには、見覚えのある6人の男性が立ち並んでいた。

 

(クオンくん? いつの間にあんな格好……。隣にいる人……誰だろう?)

(オリバーさん、ジークさん……。あ、あの車の中から声をかけてきた人……

それから……)

 

ヘンリー 「あれ、キミは……」

 

手帳の持ち主、ヘンリーさんも。

 

(この人たち、いったい何者なの……・?)

 

この瞬間、私の運命は動きだしていた。

 

 

To Be Continued ...

 

 

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